亜寒帯潜水技術研究所の活動初め


 The Institute of Subarctic Diving Technology
 亜寒帯潜水技術研究所

 北海道は全域、亜寒帯湿潤気候と言われており、
 また、面積は83,457㎢と、九州の約2倍、四国の約4.5倍、沖縄の約37倍。
 
 さらに解りやすく、車での移動距離を、大まかにまとめると、
 ポセイドン⇔積丹町 ≒ 東京駅⇔神奈川県小田原市
 ポセイドン⇔浦河町 ≒ 東京駅⇔静岡県下田市(伊豆)
 ポセイドン⇔然別湖 ≒ 東京駅⇔静岡県浜松市
 ポセイドン⇔釧路市、函館市、稚内市 ≒ 東京駅⇔愛知県名古屋市
 ポセイドン⇔弟子屈町 ≒ 東京駅⇔三重県四日市市
 ポセイドン⇔羅臼町、根室市 ≒ 東京駅⇔京都府

 守備範囲は、果てしなく広い。。。。
 北海道と言っても、一括りにはできない環境の違いがあります。

 その、北海道、亜寒帯をベースに、
 亜寒帯潜水技術研究所(以降、ISDT)は活動を行います。
 
某所港内にて

 ISDTについて、以前ブログにも書いたことがありますが、
 競争戦略における、社内資源アプローチにあたり、
 我が社の「コアコンピタンス(企業の中核となる強み)」について、

 ・潜水クオリティの向上と維持
 ・潜水活動の監督部門
 ・寒冷地機器の精査、研究
 ・ポセイドンの歴史におけるコーポレートアイデンティティの整理
 
 を担当し、そして、通常の潜水講習だけではなく、
 潜水士へ向けた、安全衛生教育講習も担当する
 いわば、旅団戦闘団のような存在です。

フィンワークのトレーニング中

 近頃のISDTの仕事は、ポセイドン43年の歴史において、
 受け継がれてきた「安全に対する姿勢」を文書にまとめ、
 コーポレートアイデンティティとして整理することに力を注いでいます。

 また、メイン業務の一つでもある、
 消防の水難救助隊へ、安全衛生教育訓練を実施していました。

 消防本部では法令上、管轄の消防署に、救助隊を設置していますが、
 港、湖や沼、ダム、河川など、水難事故が発生しそうな地域では、
 救助隊が、水難救助隊を兼任していることが多いようです。

 潜水に関して、消防学校などでの専門研修もあるようですが、
 義務ではないようで、地域的な諸事情で、参加できないことがあるとの事。
 また、集中した潜水訓練の時間も、充分に割くことができないそうです。

視界不良潜水訓練

視界30cmくらい

 しかしながら、彼らが水難救助活動を行う場所は、
 ・冷水域であること
 ・視界不良であること
 ・障害物があること
 と、潜水を難しくしてしまう環境要因が揃っています。

 また、ダイバーであればよくご存知でしょう?
 潜水器材は、何度も反復して使用することで、
 自分の思い通りに操作することができます。

 水難救助隊には、
 環境などの外的リスク要因だけではなく、
 訓練不足や経験不足などの内的リスクも存在していると言えます。

潜水前のバディチェック

フィートトゥギャザー

 水難救助隊と言っても、労働者です。
 したがって、潜水士資格がなければ、潜水業務に就けません。
 もちろん、安全衛生教育も必要となります。

 安全衛生教育は、雇入れの際、配置換えの際だけではなく、
 潜水のような性質では、職場内で自主的かつ定期的に実施すべきで、
 年に数回は、私達のような専門家による訓練およびチェックも必要でしょう。

ライトはスポットで

水中トランシーバー ロゴシーズも

障害物や様々な物が転落している港内

 今年、ISDTが実施した消防向け事業は、

 ・高気圧作業安全衛生規則の変更点(講義)
 ・潜水士試験準備対策講座(講義)
 ・太平洋沿岸の街での安全衛生教育講習(実技)
 ・屈斜路湖での安全衛生教育講習(実技)

 の、以上であり、
 11月には、隊員が自主的トレーニングで札幌に。

 実技のデモンストレーションは、
 視界不良だと、見えないこともありますので、
 積丹やプールで実施となります。

学科講習中

天候に恵まれた屈斜路湖

ブリーフィング中

 今回の2件、
 どちらも、水難救助隊がいつも潜る場所で講習をいたしました。
 隊員の皆さんは、体づくりもなされており、さすが順応性が高い。

 しかし、過酷な環境(特に視界不良)に併せ、
 良いバディになりきっていない「潜水器材」
 その中で、実際のバディとコミュニケーションを図りながら、
 任務を遂行すると言うことは、非常にストレスが高くなります。

インフレータブルボートにて

エントリー前

 安全管理、危機管理をするためにも、まずはトレーニングです。
 そして、様々な応用技術の選択肢がある中でも一番大切なことは、
 定期的な「基礎技術」のトレーニングです。
 
 応用技術は、基礎技術の上に成り立つものであり、
 基礎技術は、習得いかんにかかわらず、
 何度も定期的に行われるべきものです。

これから水中脱着です

 基礎技術は、
 ・体づくり
 ・泳力、フィンワーク
 ・マスククリアなどの視界の確保
 ・レギュレーターリカバリークリアなど呼吸の確保
 ・浮力の調整と確保 です。

 もちろん、物理、生理、器材、環境、ガス各論、減圧理論などの
 基礎知識も重要となります。

 それから、活動することが考えられる環境において、
 捜索手法やバディコミュニケーション、救助訓練など、
 応用技術のトレーニングとなるわけです。

エアシェアも練習しましょう

 亜寒帯潜水技術研究所といたしましては、
 水難救助隊の皆様へ、安全衛生教育講習と言う形で、
 その活動のお手伝いをさせていただければ幸いです。

水温は12度でした

バディとロゴシーズを使用したコンパスナビ

天候が急変

時化の為、深度潜水は中止に。。。

暴風雨です

無事に戻れました

 最後に、
 私達も、基礎トレーニングを疎かにせず、
 様々な知識と技術を提供できるよう、さらに精進いたします。

 ちなみに、下は、2010年に作った、
 ポセイドンスタッフ トレーニング基準です。
 


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