冬の潜水士試験対策講座と改正高気圧作業安全衛生規則講習会


 1月30日〜31日
 例年実施している「潜水士試験対策講座」を、今年も開催。
 実は、2月8日〜9日にも、リクエストがあり、開催します。

 そして、2月1日には、昨年4月から施行された、
 高気圧作業安全衛生規則の一部変更について、
 よくわからないとのことでご要望があり、その講習会を開催しました。

 冬は、1月末または、2月初旬に行われる、
 「潜水士試験」に合わせ、業務で潜水される方々の、
 学科講習と、実技講習が多くなります。

講義中。


 潜水士は、労働安全衛生法に関わる資格です。

 労働災害を予防し、また労働者の安全と健康を確保し、
 快適な職場環境を形成するため、責任体制を明確にしたり、
 自主的活動の促進などを目的とした法律です。

 潜水士といえば、
 海上保安庁などのダイバーというイメージがありますが、
 潜水作業を行うすべての方に必要な「免許」です。

 これは、水中という高気圧下で行う、
 特別な業務を行うには、
 専門的な知識と技術が必要なので、

 潜水士試験に合格することで、
 知識と技術があることを証明しなければなりません。

 合格すると、潜水士免許を取得でき、
 事業者も、免許をもっているかたを
 潜水業務に従事させることができます。

潜水士試験対策講座


 ご存知の通り、潜水士は筆記試験のみです。
 技術は後付けにはなりますが、職場内での教育となります。

 労働安全衛生法では、第35条に、雇入れ時等の教育が規定され、
 業務に関する安全または衛生のための教育を行わなければなりません。
 また、安全衛生のために、継続して、計画、実施することも必要です。

 要するに、
 潜ることができるようになる資格ではなく、
 潜水業務に従事するために必要な資格です。

 潜ることができるかどうかは、その後の職場内での教育です。
 
 ただし、今の世の中、
 職場内での教育も、なかなか難しくなりつつあります。

 それは、人員の不足もあり、
 業務に人材が集中し、教育まで手が回らない、
 また、教育できるレベルにないなど、理由は様々です。

 そこで、安全衛生教育を、外部講師により行う、
 と、いうこともあり、私どもが担当しているわけです。

自撮りしました 笑

 スクーバダイビングのCカードは、免許(ライセンス)ではありません。
 その証拠に、License(公的免許) といわず、
 Certification-card(証明)と、言っていますよね?

 ダイビングのCカードは、ダイバートレーニングの証明なのです。
 そこに、簡単、速い、安いという、牛丼屋さんのような価値観は
 全く存在しないのです。

 レジャーと「ひとこと」で言われますが、
 初めての方へ向けた、素晴らしい教育システムです。
 USネイビーだって、最初は初心者なので、同じように練習を始めます。

 潜水士+ダイバー教育コースが、
 現在、合理的であり、保険の担保もあり、システマチックなのです。

 慣れてきましたら、さらにステップアップした内容を、
 安全衛生教育として、計画していただければと思います。

潜水安全教育講習での一コマ

フルフェイスマスクでのセーフセカンド装備を指導。

 ちなみに、潜水士試験対策講座や、安全衛生教育は、
 餅は餅屋。教育と潜水作業の両方に精通している企業でなければ、
 指導は難しいものだと思います。

 無料講座というものを否定するわけではありませんが、
 試験合格することだけが、大切ではありません。
 やはり、安全衛生の観点から、ヒアリングしつつの講習が重要です。

 一番の目的は、もちろん潜水士合格でもありますが、
 そのみなさまの、健全で快適な職場環境形成ですから。
 
 本気で、かつ持続的に関わらせていただくためには、
 我々も、生活してゆく「糧」を頂戴しなければなりません。
 それも、健全な姿だと思っています。

 
改正高圧則講座の一コマ

 さて、潜水に関しての細かい規定は、
 高気圧作業安全衛生規則にあります。

 この法令は、昨年4月から、一部が改正されました。
 具体的に言うと、

 ・今までのダイブテーブルを廃止(これは当然の理由があります)
 ・代わりに最低基準の数式になった(ZH-L16)
 ・純酸素の使用制限がなくなった
 ・代わりに酸素暴露量の制限が設けられた
 ・酸素、窒素の分圧制限が設けられた
 ・潜水計画に必須記載事項が規定された
 ・記録も必須記録事項が規定され5年保存となった
 ・潜水方式の多様化に合わせ事業者の責務が規定された

 です。これが、私ども一般的な「スクーバ式潜水士」にとって
 とっても当てはめづらい内容になったわけです。

 実務上、困り果てる。。ということはありません。
 ですが、今まで習ってきた事を、入れ替えないといけないのです。

 今回実施しました、改正高圧則講習会は、
 とある消防隊員さんからのご要望でした。

 要するに、よくわからないと。

 特に、潜水計画を立てる際の「ダイブテーブルが無い」
 だから、とても困っているという言葉が多いのです。

多くのかたにご出席いただきました。


 厚生労働大臣が定める、
 その計算は、非常に煩雑で(表計算ソフトに)慣れないと難しいです。
 
 したがって、基準をクリアしている(安全性が高い)
 ダイブテーブルをご紹介しました。

 テーブルさえ選ぶことができれば、
 だいたい、今までと同じように、
 作業を実施できるわけですから。

 このダイブテーブル問題。
 私たちにとっても、悩みどころが多かったのです。

 私はNAUIインストラクターである前に、
 弊社の従業員です。

 私どもの講習は潜水業務であり、
 潜水士の法令「高気圧作業安全衛生規則(高圧則)」
 の規定に沿う事が必要です。

 そうです。法令遵守です。
 コンプライアンス、久しぶりに聞きました??

 今回の厚生労働大臣が定める数式。
 NAUIのNO-Decompression tableに合わせて
 数式で計算すると、、、

 27mあたりから、
 数式計算の結果の方が2〜3分厳しめの数値になることも。
 微々たる違いなので、使用していて問題になるレベルでは無いですが。

 ですが、きちんと調べ、
 理解していなければならないという事です。
 NOAAのNO-Decompression tableを使うにはさらに微調整が必要です。
 
 IANTDのAir tableは、理論がZH-L16ベースですし、OKです。
 しかも、75%EANxの減圧テーブルまであります。
 いまは、このテーブルがお気に入りです。
 (田中さん!ありがとうございました☆)

 また、弊社も計算を行い作成。
 反復潜水の負荷要因は、探して探して、ようやく見つけた
 ビュールマンのテーブルを参考にしました。

 のちほど、IANTDの反復表と見比べると、
 ほぼ同じでした。よかったです。

 このほか、エンリッチドエア・ナイトロックスのお話、
 分圧計算(MOD)や、等価水深(EAD)計算、
 高圧ガス容器保安規則や、水中通話装置のこと、

 などなど、そういうお話を、
 隊員さんと話しながら、改正の要点などを説明いたしました。

懇親会では、器材の分解も。


 今回の法改正、
 ビュールマンのZH-L16と言いつつ、
 具体的な計算方法(エクセルの関数式など)など、例示しないうちに、

 いきなりDCIEMや、日本潜水協会(港湾潜水士認定などしています)の
 ダイブテーブルもおすすめ、なんて公表してしまったので、
 さらに混乱を招いた部分もありました。

 さらに、ダイブテーブルに慣れた私たちにとって、
 反復潜水(繰り返し潜水)の負荷要因などの例示が、
 具体的になされなかったことが、頭を悩ませました。

 改正から、ほぼ1年経ち、
 混乱も収まりつつありますが、
 ただ慣れてしまったのかもしれません。

 自分も、継続して、いろいろ調べていこうと思っています。

書籍の販売も行いました。

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