2016 真夏の怪現象。正しいマウスピースのススメ


 8月13日〜16日
 日本人にとって、特別な期間。。。

 「お盆」


 そう、お盆です。


 ご先祖様や、亡くなったかたの霊を祀る行事であり、

 昔からこの期間は、海へ入ることはタブーとされてきたわけです。

 霊に引っ張られる。

 と、よく耳にするわけですが、
 確かに、この期間は、海難事故が多いように感じます。

 しかし、この時期は、離岸流や土用波などに巻き込まれやすくなるなど、

 科学的にも事故に遭いやすいことが言われており、その事実から、
 この時期、海へ近づかなくするため、先祖代々伝わってきた、
 一種のプロパガンダだという説もあるわけです。

 要するに、霊などではなく、科学的に起こる自然現象。





 本当に、そうなのだろうか。。。?





 2016年8月8日

 お盆期間では無いものの、お盆の週ではありました。
 この日は、某学校のスクーバ合宿コースで、いつもの美国に。

 天候は良好で、気持ちの良い青空でした。


 アドバンスコースの初日ということもあり、

 スキルアップとして、マスクの脱着、ホバリングなどを実施し、
 中性浮力遊泳を行う内容です。

 いつも通り、学生のスキルを監督し、

 その後、中性浮力を活かしたファンダイビングへ。

 透き通るような透明度。

 心地よい青さ。



 学生も、上手に中性浮力遊泳を楽しんでいました。


 泳いでいると、鯵の群れが、

 私たちを誘うかのごとく、
 目の前を、渦を巻きながら通り過ぎてゆく。

 気づくと、青の洞窟とも言われることがある、 

 ”どんと穴”という洞窟付近まで到達しました。

 この洞窟は、岩にぽっかり穴が開いた感じで、

 曲がりながら奥まで続き、途中で行き止まりになります。
 洞窟内は空間があり、外からの光が水中をたどり、
 水面が青く輝くため、青の洞窟というショップもある。

 ポセイドンでは、言わないですが。



 名前の由来は、うねりや時化の際、

 洞窟の最終部分に波が当たり、
 ドォーン、ドォーンと音を立てるため、

 「どんと穴」


 と言われているわけです。


 昔は、この洞窟の上に階段などがあり、

 また、横には小規模な水族館があったと聞いています。

 今は、浸食により、どんどん崩れ、

 良く岩などが落下しているような、
 少々危険な場所となって来ました。

 そういうこともあり、最近は中に入らないように、

 注意を払いながら泳いでいたのですが、、、

 この日は、鯵の群れが "どんと穴" に入っていったため、 

 ついつい足を踏み入れてしまいました。

 しかし、この日は、入った瞬間、

 今までと違う、何か暗く、陰気臭い、
 ちょっと、いやだなぁ〜という感じがしたのです。

 ありますよね?
 そういう時。

 入った瞬間、悪寒がするような部屋とか。

 でも、学生は、鯵に誘われながら、"どんと" に近づいて来ます。

 まずいかなぁ〜と思っているその時は、
 どんと穴の入り口にいるのは、まだ自分だけです。

 その時の学生との距離は2m


 なんだか、やっぱり、いやだなぁ〜と思い、

 鳥肌もざわざわざわ〜としたものですから、
 直感的に、引き返した方がいいと思いました。



 学生が "どんと穴" に入る前に、ヘリコプターターンで、

 180度方向転換し、戻ろうと合図をしようとした瞬間、

 ごぼっごぼっ!


 と、大量の水が、自分の口の中に入って来たのです。

 一瞬、何事なのだろう?と思っても、状況をつかめないわけです。
 だって、マウスピースは咥えているのですから。。。

 「スノーケルを咥えて潜っちゃったのかな?」


 と、一瞬、何やってるんだ?自分。。。

 って考えたりしたのですが、
 潜水してから浮上はしていないですし、、、

 すでに潜水時間は30分経過しているのです。


 スノーケルのわけない!

 とっさに手を口に持っていくと、


 無いんです。。。


 自分のセカンドステージが、無いんです。。。


 リカバリーをしても、セカンドステージは見つからず、

 ホールドしているオクトパスも、なぜか見当たらないのです。



 水を飲むということは、

 息を吐いた後の出来事であり、
 息堪えも、そろそろ限界というところでしたが、、

 水深は3m程度の場所。

 緊急スイミングアセントで、学生を視界に入れながら、
 水面へ浮上。

 浮上後は、普通にオクトパスも所定の場所にあり、

 メインも簡単にリカバリーできます。
 そして、見事にマウスピースが外れていました。

 しかしながら、

 いつも通りリカバリーしたはずなのですが、
 水中では見当たらず、、、

 焦りはしましたが、
 慌てていたわけでもなく、
 何が何だか、理解できない状況でした。



 そして、一番不思議なことは、

 なぜマウスピースが外れていたのか??
 なのです。

 マウスピースはシーキュアマウスピース。

 歯型をつけるタイプ。
 セカンドステージはダイブウェイズ。

 マウスピースは、取り付け部の口径が、各メーカーに違いがあり、

 きちんと合わせなければ、脱落や水の侵入があるものです。
 しかしながら、そんなことは解っており、サイズは合っていました。

 そして、強い外力を受けなければ、

 決して外れることはない、はまり具合だったのです。

 水中では、何一つ引っかかることもなく、

 また、ホースにテンションはかかっていませんでした。
 学生の方向への振り返り方も、ホースに力がかからない
 ヘリコプターターンでした。

 なぜ外れてしまったのだろう。。。。。?


 原因は謎のまま、、、

 これがディープダイビング中であったら、
 と、考えると、非常に危ない状態で、命を落とすことも。。。
 後から、じわじわと、恐怖を感じるのです。

 あの時、直感的に感じた嫌な感じと、

 外れたマウスピース。

 よく見ると、ホースには、、
 強く握られた痕があり、、、、
 と、いうことがあれば怖いので、
 それ以上、確認をするのはやめました。

 これは、お盆という期間、

 ご先祖様への感謝と供養を疎かにしてしまった、
 自分への警告だったのではないだろうか?

 はたまた、流れの最終到達地であり、
 よどみになっている "どんと穴" の奥には、
 無数の霊が漂着しているのかもしれない。


 皆さんも、

 道具のチェックや、万が一のスキルアップを、
 更に向上していただきたいと思う次第です。

 完璧であっても、問題が生じたときは、
 科学では解明できない力が働いているかもしれません。

 そして、安全なダイビングを実施できたなら、
 ご先祖さまに、感謝をいたしましょう


 この話は、ノンフィクションです。 


●レギュレーターのマウスピース選びは大切です。



様々なマウスピース

 これからは、科学的なお話として、

 マウスピースのトラブルの根拠を説明します。
 
 マウスピースはサイズがあり、咥え心地によって、
 ダイビング中に受けるストレスは変わって来ます。

 しかしながら、メーカー純正のマウスピースは、

 一部のメーカーを除き、ほとんどの場合が、
 ワンサイズ対応となっているのが現状です。

 様々なサイズや形のマウスピースは、

 サードパーティー製がほとんどで、
 多種多様となっています。

 ここで、気をつけたいことがあります。

 それは、レギュレーターのマウスピース取り付け部は、
 各メーカー、機種によって、口径、脱落防止の溝の形が
 全く違うというところです。


今回はこの5機種を比較

それぞれ違いがある

同じApeksでもこんなに違う

Sプロとアクアラングもこんなに違う

同じ系列会社でも、こんなに違う

SプロとBismは大体同じ

ただし、口径の形が違う

 違うメーカー製のマウスピースの取り付けは、

 もちろん、問題ない範囲の製品もありますが、
 全く形状や大きさが異なるものを取り付けると、
 余計にストレスが増すだけではなく、、、

 水中で外れてしまうこともあることは理解してください。

 そして、水中でマウスピースとセカンドステージが外れた場合

 皆さんが体得している「レギュレーターリカバリークリア」
 では、対応の難しさがあります。

 それは、マウスピースをくわえていますから、

 レギュレーターが無いことに気づけなく、パニックにつながる事も。
 異常に気がつくのは、息を吐いた後、吸い込んだ時です。

 さらに、リカバリーできても、マウスピースがついていませんので、

 機転を利かせて、取り付け部を直接咥えるか、
 オクトパスに切り替えるかが、必要となるのです。


●考えられるリスク

 
 間違ったものを取り付けてしまうことで、発生する可能性があることは、

 ・取り付け部の長さが違う

  >長いと咥えた時、セカンドが安定せず、口から外れやすくなります。
  >短いと、唇がセカンドケースにあたり、ストレスです。
 ・溝の位置や形状が違う
  >定位置での引っ掛かりが悪く、脱落の恐れがあります。
  >取り付け部の破れなどを引き起こす事もあります。
 ・マウスピースの口径が大きい
  >脱落の可能性が極めて高いです。
  >呼吸時に水を吸い込む可能性も高いです。
 ・マウスピースの口径が小さい
  >マウスピースの破れが発生し、製品寿命が落ちます。


BismにSプロのマウスピースはマッチした

逆も同様で小さいサイズとして対応できる

アクアラングのも見た目はOKっぽいですが。。

締めても隙間が発生します

BismにApeksは論外です

Apeks同士は交換してはダメ。常に新品取り付けを

小さすぎるマウスピースは破れやすい
  
全くあっていません

これは溝が合っているのでOKです


●純正でもいい加減なものもある

 
色々販売しています

 純正であれば、なんでもオッケーと思われるかもしれませんが、

 実はそうでも無いのです。

 今年発生した件で、

 とあるメーカーのセカンドステージは、とてもコンパクトでした。
 その分、安定させるために、
 マウスピースをしっかりしなければなりません。

 しかしながら、ホースは固く、太く、

 マウスピースは貧弱で、
 通常の咥えかたで、すぐに口から外れてしまう。

 そういう事がありました。

 なので、サードパーティー製のマウスピースに交換しました。
 それも、長さ、口径、溝がジャストだったから出来た事です。

 なので、純正を過信しすぎず、

 咥え心地によっては、サードパーティー製に交換する。
 その際、お店のプロスタッフに相談する事が必要です。


 

交換した場合は、自己責任になります

 少し冷たい言い方に感じるかもしれませんが、

 自己責任という言葉は、ダイビングであればつきものです。

 マウスピースは快適なもので、正しいものに交換すべきです。

 ですが、純正を除いた他のマウスピースに対し、
 メーカーに責任はありません。

 また、アドバイスを行い、交換した店舗には、

 販売した責任は生じますが、
 ストレスの有無など、どうなのかは、
 皆さんが実際に水中で使って、初めて解るものでもあります。

 要するに、ダイビング器材は、皆さんと店舗で、

 より良い形への追求を行うべきものであり、
 ご自身の使用する器材は、ご自身で責任を持つ事が、
 安全潜水への第一歩なのです。

 したがって、店舗だけに責任を押し付けてしまうような事や、

 販売したら、売りっぱなしの、無責任なショップは、
 結果的に、安全潜水の実践につながらないという事なのです。

 より良い形への追求ですから、

 色々試して、自分とセカンドステージにマッチした、
 良いマウスピースを、一緒に考えていきましょう!


 ポセイドンでは、様々な潜水器材、マウスピースも販売しております。

 咥える事がストレスという方は、ぜひ一度、
 ポセイドンのスタッフへ、お気軽にご相談ください。


 そして、最後にもう一度、、、

 海を尊ぶとともに、
 安全にダイビングができることを、
 ご先祖様に感謝をいたしましょう。
  

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