インストラクターは器材をセールスするのも任務。

雪と潜水器材


 今年は、10月に入ってから、海象に恵まれませんでしたね。
 とても残念。。。なんともはや、もうすぐ11月ですよ。

 昨年は雪が積もるのが遅く、
 12月末まで、全然積もりませんでした。
 今年は、結構積もりそうな予感。。。

 そんな北海道、
 爽快だった夏も過ぎ、海はまた来年。
 と、いう声も聞こえて来ます。

 みなさんそれぞれ、嗜好も志向も違いますが、
 日本、特に北海道は、四季がハッキリしていますから、
 秋、冬、春の海も、夏には無い楽しさがあるものです。

 ダイビングの本当の楽しさを知る方は、
 ・オールシーズン、ダイビングを行う
 ・地元の水中をこよなく愛する
 ・季節や環境、潜り方に見合った器材を使う
 ・       〃      スキルを身につけている

 私は、10月、11月、12月の「秋〜冬」
 1月、2月、3月の「厳冬〜春」
 4月、5月、6月の「春〜初夏」

 この9ヶ月間こそ(特に積丹は3月〜5月)
 北海道のダイビングシーズンだと思うのです。

 秋から冬の3ヶ月は、アイナメやクジメ、ホッケの卵保護が見られ、
 厳冬〜春は、アイスダイビングやホテイウオの幼魚を楽しみ、
 春〜初夏は、勢力が移り変わる「海藻」の世界に感動できます。


10月からアイナメの卵保護が見られる

産まれたての卵

クジメの卵塊

ハッチアウト前

ホテイウオの幼魚

5月。もうすぐ深場へ旅立つ

2月のアイスダイビング

氷は80cmにも達した

2月に遭遇したトド

3月の緑藻類

4月のワカメとホソメコンブ

5月のコンブ

 こんなに素敵な水中世界。
 感動もあれば、学びもあります。
 
 しかしながら、水深こそは深く無いですけれど、
 この時期は低い水温、また、季節によっては低い視界。
 それは、ダイビングを難しいものにしてしまいます。

 それらリスクを受け入れ、
 器材準備とトレーニングを行うことで、
 感動を得ることができるのです。

 水中世界での感動は、インストラクターの功績ではありません。
 自然の解説や見せ方など、エンターテイメント性は必要ですが、
 そもそも自然環境がすごいのであって、そこに感動があるのです。

 まとめると、インストラクターの役目は、
 講習生に感動して頂くため、リスクもあることを理解していただき、
 それに対して必要な知識とスキルの提供、そして、

 「必要な装備、器材のススメ」

 と、いうことです。


極地へ近づくにつれ、器材にごまかしが効かない


 順番的には、知識→器材→スキル ですね。
 リスクマネジメントを行う中で、避けて通れない”前提”は、
 ご自身の器材を熟知し、使い慣れていることです。

 とっさに変化することもある水中環境。
 反射的に操作できるよう、器材の使用感に慣れるだけではなく、
 視界が狭く、身動きが取りづらい中で、見なくても操作できること。

 また、北海道特有の「コールドウォーター環境」では、
 レギュレーターの凍結についても備えなければなりません。


器材の凍結

 と、言うことで、インストラクターは
 知識とスキルトレーニングの提供だけでは役不足。
 マイギアのススメも行わなければ、任務を全うしていると言えないのです。

 インストラクターに不足していて、
 講習生にうまく伝わっていないと感じるのは、

 ・器材の知識とセールス
 ・高圧ガスの知識、ガスマネジメント

 だと思っています。


寒いとガスの消費も早くなる


 もちろん、ポセイドンでは、レンタルも用意していますが、
 それは、原則として、初心者向けのサービスです。

 初心者とは体験ダイビングや体験スノーケリング、
 一番初めのダイバー認定コース受講中までの話です。

 ダイバー認定を受けた段階から”初級認定ダイバー”です。
 初心者とは若干ニュアンスが違います。

 アドバンス認定では、確実に”中級認定ダイバー”となります。
 
 比較対象とはなりづらいですが、例えば、
 ・そろばんを習って能力検定5級です(10級から1級まで)
  でも、そろばんは、いつも誰かから借りています。
 ・スキーのバッジテストを5級から受けますが、目標は1級です。
  でも、今はスキーをレンタルしています。
 ・車が好きで、ドライブが趣味です。でも車は持っていません。
  いつも、レンタカーです。

 などなど、どうですか?
 違和感を感じませんか?


認定ダイバーの定期的なトレーニング

 また、レンタルは、いつも有るとは限りません。
 数、サイズには限りがあります。なければ活動に参加できません。
 そして、水深計やダイバーズウォッチもレンタルにはありません。

 講習基準で、水深計とダイバーズウォッチは講習生にとって必須ではなく、
 インストラクターが必ず持ち、管理しているのです。

 認定後は、水深と時間の管理を、ご自身で行わなければなりませんから、
 本来、確実にご用意していただかなければ、ならないのです。

 上記の理由から、ポセイドンでは、器材の購入の際、
 一番初めに「ダイブコンピューター」をご用意されることを
 皆様へオススメしています。


時計と水深計も兼ねるダイブコンピューター


 それでも残念ながら、レンタルがいつでも使えると言う、
 間違った風潮が当たり前のようになってきました。

 レンタルが、当たり前のように用意されると勘違いしてしまうのは、
 業界の風潮もあると思いますが、一番問題なのは、
 インストラクターの意識が低いことにあります。

 インストラクターは「売りつけられた!」
 などという、間違った言葉に惑わされることはありません。
 インストラクターは、講習生に器材を勧めるのも任務ですから。

 その代わり、インストラクターは、
 オススメする器材に責任を持たなければなりません。
 たまには自己投資を行なって、使い試し、比較することも大切です。


レックでもケーブでも無い使い方を模索

 そうして、信頼を得ることで、
 本来のダイビングに必要な「知識、技術、安全に対する姿勢」を
 講習生へ提供することができるようになるのです。

 これで初めて、ダイビングと言う事業が成立します。
 ここでハッキリ言います。ポセイドンの利益の源泉は、
 「皆様にマイギアを用意して頂くこと」なのです。

 昨今、様々な業界において、大切なバランスが崩れています。
 車も買わない、持たない、必要ない、と言われる現在、
 ダイビング器材も、もちろん同様に言われています。

 生活環境が変わり、便利すぎる不便さを感じる中であっても、
 水中世界で活動するには、絶対的に器材が必要ということは、
 今までも、これからも、変わりません。


ダイビング専門店 ポセイドンの店内

 しかしながら、プロショップが現地サービス化し、
 器材販売を諦めてきているように感じます。
 
 コスト高とリスクがある器材販売を縮小し、
 ツアーなど、ソフト面を拡大する傾向が、よく見られるわけです。
 
 器材メーカーも商売にならず、縮小または減少する中で、
 ますますそれが加速すると、
 レンタルだってままならない時代になるかもしれません。

 いくらソフトを充実させても、
 絶対的に必要な器材がなければ、
 ダイビングは成立しません。

 そのうち、レジャーダイビングそのものが、
 成立しなくなることも、ありえなく無い話です。


インストラクターはマイギアしか使わない

 レジャーダイビングを、持続可能なものにするためには、
 ダイバーも器材の重要性を理解し、
 インストラクターも、責任ある任務を果たすべきなのです。

 最後にもう一度。
 優秀なインストラクターは、
 講習生やダイバーに「器材のセールス」をいたします。

 と、言うことで、今回の内容はここまでです。

 11月20日まで、ポセイドンでは、
  ドライスーツ、コンピュータ、スクーバセットの
  大特価SALEを開催中です

 次回は、高圧ガスと、ガスマネジメントについて書きます。

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