第6回 日本水中科学協会(JAUS) シンポジウム

北海道では見ない柑橘系が街路に

 12月18日(日)
 前日まで、天候不良が続いた札幌でしたが、
 この日からは、全国的に陽気がひろがる、出張日和。

 場所は東京。

 私も関わらせていただいております、
 日本水中科学協会(JAUS)の、
 第6回 ダイビング活動研究シンポジウムへ出席するために、
 上京してまいりました。

風景がきれいです

今年も東京海洋大にて

発表する須賀代表理事

 JAUSとは、須賀次郎先生をはじめ、
 様々な潜水活動をおこなっている方々で構成され、
 そして様々な研究活動をおこなっている協会です。

 私は、須賀先生と潜水士試験対策テキストを書かせていただいたご縁から、
 JAUS理事に推挙いただきましたが、北海道ということもあり、
 なかなか日頃の活動に参加することができず、、、
 とても心苦しく思っております。。ごめんなさい(汗)

 なので、せめて毎年12月のシンポジウムには出席しないと、、
 天罰が降りますね(笑)

久保副代表理事

 シンポジウムでは、

 1、発表
  ・2016年 ワークショップの総括            JAUS理事 山本徹さん
  ・特別展示についての説明          JAUS代表理事 須賀次郎さん
  ・沖縄のモズク漁での(軽便)マスク式潜水について 旭潜水技研 杉浦武さん
 
 2、講演
  ・シートピア計画30m60mの海底居住   元JAMSTEC 山田海人さん
  ・新法規に基づく減圧ソフト使用の実際 JAUS副代表理事 久保彰良さん
  ・最新ダイビング用語辞典 2 製作発表    JAUS代表理事 須賀次郎さん

 3、映像発表
  ・人工漁礁調査潜水       増井 武さん
  ・牡蠣殻人工漁礁        海洋建設 田原 実さん
  ・珊瑚礁と人魚         斎藤 真由美さん
  ・新しいウェアラブルカメラ紹介
  ・伊勢志摩の多様な海辺の生物達 佐藤 達也さん
  ・お台場の生き物達       須賀次郎さん

 以上の内容でした。

 どの講演内容も、興味深いお話ばかりですが、
 特に、飽和潜水のお話しは、なかなか生でお聞きする機会もありませんし、
 沖縄のモズク漁では、軽便マスク式潜水を大切に使い続けていること、
 そして、その軽便マスクを復刻しようという動きも、凄いと思いました。

 ダイビングの世界は、新しければ全て良しと言うことではなく、
 保守的と言いますか、慎重と言いますか、
 つかいなれた道具こそ、命を預けるに最高のバディなのだなと感じました。

 軽便マスクも、現在では販売されていませんし、残念ですが、
 定量送気式のヘルメットを作る最後の職人さんも亡くなってしまい、
 昔ながらの潜水を続けること自体が難しい時代ではあります。

 新しい方法へ移行することも大切ではありますが、
 伝統的なモノ・コトを持続させることも大切であり、
 どちらかというと、持続させる方が難しいものであると実感いたしました。

 持続させる上で重要になるのが、
 そこに至った「プロセス」だと思っています。

 なぜそこに至ったのか?
 そこへ至るまで、なにがあったのか?
 関わった方々の思いはなんだったのか?

 この「歴史的プロセス」が重要なのであって、
 ダイビング器材だけではなく、
 この業界へ新たに参入するかたや、
 様々な地域でダイビングをしてみようというかたにも通じます。

 話は少し逸れますが、
 海は誰のものでもないという一言で、
 どこで潜ろうが良いではないか!と主張する方もおられます。

 誰のものでもないのであれば、そのかたのものでも無い。

 大体は、生活の場であった海を、レジャーで潜るということに対し、
 理解を示して頂くまでに時間を要したわけであり、
 その歴史的プロセス、先駆者のご苦労は、並大抵のものではありません。

 これは、会社においても同じです。
 会社を維持するためには、変革も必要です。
 
 しかしながら、今までの歴史的プロセスは
 良くも悪くも、会社の「ノウハウ」でもあるわけです。
 
 人だけでなく、自然界も、環境の変化や、現状変更を好みません。
 もちろん、環境変化に適応することは生き延びることに通じますが、
 そこまでの歴史的プロセス、ノウハウを残しておくことも重要です。

 技術革新や、業界や会社に変革を起こし、
 正しく未来を拓くということは、
 結局のところ、歴史のつながりの上に成り立ち、
 そこまで至ったプロセスの見直し、応用であると理解しています。

1940年後半に輸入?

これがSCUBAの始まりです

輸入されたアルミシリンダー

 今回のシンポジウムでは、全般的に、
 その歴史的なプロセスを発表、展示したものだと感じました。
 飽和潜水への挑戦の歴史、高気圧作業安全衛生規則の変革、
 ウェアラブルカメラの進化などの発表も、私はそう捉えています。

 展示は、1940~1950年代に輸入された
 ダブルホースレギュレーター、アルミタンクをはじめ、軽便マスク式潜水器、
 太平洋戦争末期における潜水特攻兵器「伏龍」のレプリカなど、
 歴史的な潜水器や撮影機器が揃っていました。

 これらは、なかなかお目にかかれない、
 特別なものばかりです。

日本の潜水器の始まりである大串式マスク

伏龍特攻隊の潜水器レプリカ

旭式潜水器

歴史的な撮影機器

当時の先端技術が詰まっています

ニュースステーションで使用されたバブルヘルメット

カービーモーガンのハードハットとバンドマスク

ダイブウエイズの初期フルフェイスマスク

世界各国で使用される下町技術

セカンドの脱落防止加工

ワンコイン懇親会にて

乾杯です

ヘルメット最中

マッコウクジラの歯です

 来年からスタートする、
 最新ダイビング用語辞典2の製作。

 今回は、現在へ至るまでの「歴史的プロセス」をベースに、
 様々な視点で製作をするとのこと。

 今回のシンポジウムは、2016年の活動総括でもあり、
 JAUSの次のミッションである
 最新ダイビング用語辞典製作のプロローグでもあったわけです。

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