陰陽
陰陽。
どちらかと言うと、楽しく明るいイメージの「陽」に気持ちが向き、
暗いマイナスイメージの「陰」は敬遠してしまうものだ。みなさんはどう?
でも、どちらか一つだけと言うのは存在しない。
冬が有れば夏もあり、光があれば影も有る。
生があれば死もあり、出逢いがあれば必ず別れもある。
この陰陽が調和し、はじめて自然の秩序が保つことができると言う。
晴天だが、流れがあった6/23の積丹 |
ダイビングにも、もちろん陰と陽はある。
楽しさの反面、リスクも存在する。
開放的な楽しさを追求するという事は、そのリスク対策も追求すると言うことなのだ。
この日は18名でダイビングを楽しんだ |
水中はうねりもあり、透明度は悪かった |
ダイビングの講習は、それぞれのステップで、必ず「陰」を目の当たりにする。
楽しみである反面、不安や恐怖が同時に存在し、時には恐怖が勝ってしまう事がある。
インストラクターは、その状態を抱えた講習生のみなさまを水中で引率しながら、リスク対処のトレーニングを行いつつ、恐怖や不安を取り除き、あくまでも保守的な自信をつけて戴かなくてはならないのだ。
減圧停止シュミレーション中 |
インストラクターも人の子である。
水中にいる時間は短時間かも知れないが、千変万化する自然環境のなかで、不安を抱えている講習生の皆さんの安全を管理すると言うことは、並大抵のストレスではない。
むしろ、ストレスを感じないインストラクターは、いないのではないだろうか?
安全管理の考え方で「フェーズ理論」と言うものがある。
- フェーズ0:無意識
- フェーズ1:サブノーマル=不注意状態、居眠りや疲労など
- フェーズ2:ノーマル、リラックス状態=注意リズム低下
- フェーズ3:ノーマル、適度な緊張状態、積極的、集中力=業務に適している
- フェーズ4:ハイパーノーマル、過緊張=緊急防衛反応、パニック
簡単にまとめると、こういう事で、フェーズ3がダイビングに一番適しているのであるが、講習生のみなさんも、インストラクターも、それぞれの立場上、3と4の間のギリギリ状態でもある事がほとんどと言えるはずだ。
ダイビング講習は、3と4の狭間から、3へ移行するために行われると言っても過言ではないだろう。
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講習が無事終わり「楽しかった!」「自信がついたよ!」と言ってもらえる瞬間が、本当にこの仕事をしていて、達成感とインストラクターとしての喜びを感じる。
と言う話しは、真実なのであり、目標でもあり、切実な願いでもあるのだ。
そして、一番大きいのはその日その日の「安堵感」なのである。
ストレスと達成とが、連日に近いくらい繰返されるのもインストラクター。
時にはうまくいかず、悩む時も、苦しい時も、もちろんあるものだ。
一見華やかで、好きな事を仕事にしていて、明るく、時にはチャラく見られたりすることが多い立場ではあるが、それを「陽」とすれば、ストレスを抱えつつも安全に任務達成へ向け準備し、トレーニングし、実施し、再検討する事は「陰」
この調和が無ければ、ダイビングから遠ざかってしまったり、嫌になったり。また、注意不足や天狗になったり。
インストラクターやダイブマスターの資質は、私個人的な考えではあるが、接客態度や真摯な姿勢、勤勉さ、誠実さ、技術の高さ、レスキュー技能はもちろん重要ではあるが、潜在的な基盤になっている、ダイビングの「陰陽」の調和がとれている事が最も重要なのであると思う。
真面目一辺倒ではつまらない、不真面目であれば危ない。
インストラクターも、ダイブマスターも、お客様も、
ダイビングの調和を目指しているかたが、結局長く楽しんでいて、安全性が高いのだと思う。
さらなるレッスンSPLコース |
夜空には大きい月。
折しも、スーパームーンが見られる夜だった。
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