岐阜県ダイビング研修〜長良川編

長良川

岐阜県。

岐阜の由来は諸説ありますが、それはさておき、川に恵まれた歴史的地域であることは間違い有りません。

こんにちは。淡水も大好き、工藤です。

先日5月24日〜26日までの3日間、私は岐阜県へ研修に行って参りました。


岐阜県でダイビング?

湊町。灯台があり、ここから岐阜へ美濃和紙が運ばれた。

 海に囲まれた島国「日本」
そのなかで「海無し県」といわれている栃木、群馬、埼玉、山梨、長野、岐阜、滋賀、奈良の8県へ、ダイビングツアーとして行くと言うことは、なかなかイメージし難いと思います。

 ですが、ダイビングは海だけで行なわれているものではありません。湖や沼、川などでも、ダイビングは盛んに行なわれています。ご存知でした?

 アメリカでも内陸に住んでいるダイバーは、海へ旅行に出かける事ももちろんありますが、いつもは地元の湖などで潜っていますし、ポセイドンでも、然別湖や支笏湖などでダイビングを行なっていますよね?

 山梨県では本栖湖、河口湖、滋賀県では琵琶湖、岐阜県では「長良川」でダイビングが行なわれています。

 今回はその「岐阜県 長良川リバーダイビング」を行なって参りました。


研修目的は?

ニホンイシガメ
 
 自然と歴史のある国「岐阜県」には、木曽三川(長良川、木曽川、揖斐川)という一級河川があり、その長良川には、天然の鮎や、アユカケ、ニホンイシガメ、そして、国の特別天然記念物「オオサンショウウオ」が生息しています。

 その長良川は、人の生活と密接に関わりあい、上手に自然と人間が共生、共存して行かなければならない場所でもあります。

 日常生活では見ることができない「水中」から、地域が抱える現状や、守るべき自然環境を直接的に見つめ、今後の共生、共存を考える。

 ダイバーにしか出来ない、だからこそダイバーに知っていただきたい、その「啓発、啓蒙」を、どのように今後行なうべきなのか?

 さまざまな地域の、潜水による取り組みを体験させていただき、北海道での我々の活動に反映させる。そういう目的で、今回、岐阜県にある「清流 美濃長良川ダイビングリゾート」さんに、お世話になってきた訳なのです。


和紙とうだつの町 美濃市

国の重要文化財である美濃橋

 長良川ダイビングリゾートさんは、岐阜県美濃市にあり、この町は「和紙」と「うだつ」で有名です。

 古い建物、街並が残る美濃市。長良川の横は「湊町」と言い、灯台も残っています。この灯台のある湊から和紙を、船で岐阜まで運んでいたそうで、その上質な美濃和紙を利用して、岐阜提灯が作られるとのこと。

 その交易などで成功した家は、家屋と隣の家屋の間に、防火壁である「うだつ」を作ったことから、成功したことを例えて「うだつがあがる」と言いますし、なかなかうまく行かない人には「うだつの上がらないやつだなぁ。」なんて言ったりもしますよね?
 
 美濃市は戦時中に岐阜大空襲から逃れることができたため、「うだつのあがる」街並を、今も見る事ができるのです。

 また、鮎や鰻などの漁業、鵜飼いなどもあり、町は「清流 長良川」と共に生きていると、実感した次第です。


長良川を潜る

リバーダイビング
 
 川と人がつながる長良川。いよいよリバーダイビングです。

 午前中は上流のポイントからエントリー、
 午後は美濃橋周辺でエントリーでした。

 水温は19℃、天候は晴れ。水位は下がっており、やや視界は低めであったものの、充分楽しめますし、心地よい涼しさを感じることが出来ました。

 水中は、川だけに流れは有りますが、それほどキツくない事と、対岸まで距離も適度な為、ゆっくり流されながら、ジグザグと40分程の潜水。最大水深7m、平均3.5mくらいです。

 淡水らしい魚がいて、ニゴイ、マゴイも。そして鮎が群れて泳いでいます。それはそれはとても見応えが有りました。

 ガイドの深和さんは、流れ、場所、などなど熟知しており、解りやすい解説で水中を案内してくれました。いやぁ、快適です☆

 さて、特別天然記念物オオサンショウウオはいるだろうか?

 もちろん自然の生き物ですから100%と言うことでは有りません。また、岩陰に隠れているので、全体像を見る事も叶わないかも知れません。。。


はんざき

石に残る鮎の食み跡

 半分に裂いても生きていたと言われるオオサンショウウオ。なので「はんざき」とも言われます。(諸説有ります)

 やはり、ここまで来たからには、「はんざき」を写真に収めたいと言う気持ちが強くなります。ですが、あいては野生動物です。しかも絶滅危惧II類。泳ぎながら次第に焦りが出てきました。

 心の中で、「また来るんだから良いじゃないか。。」など、焦る気持ちをなだめていた時、深和さんの左手が上がった。

「!!」

 近づいていくと、水中スレートに「オーサンショウウオ!」との文字。岩影へ目を移すと、、、

オオサンショウウオ

 動じる事無く、どっしり(ぬったり?)と、主のような顔つきの「はんざき」を見ることができました!

 今回はGoProで写しましたが、OM-Dを持ってくれば良かった〜(汗)と、少しだけ後悔(笑)でも、とても嬉しかったです。


上がってみると

きれいな景観

 きれいな水質に、様々な生物が生活しており、希少な生き物も住んでいる。そして、きれいな川と共に生きる人々の姿がある。

 その長良川が抱える問題点、対策も知ることができました。それは、

 ・オオサンショウウオの密漁防止に、目撃した場所のマッピングはNG
 ・釣り、漁業などとの事前調整

 心無い人から、オオサンショウウオを守る事も必要です。また、勝手に潜ってはいけないという事は無いにしても、同じく川を利活用する方々がいますから、お互いに協力し、事前に組合へ届けを出して潜っていると深和さん談。

 海と同じに、こういう調整、そして気持ちが大切なのです。

 ただ、もう一つ重大な問題を目の当たりにしました。

 それは、行楽客の放置した「ゴミ」の問題です。


出来る事は先ず知ってもらう事

楽しんだ後はゴミを持ち帰ろう。

 この日は日曜日。天気も良く、気温も高い。

 近隣のかたの憩いの場所でもある「長良川」なので、たくさんの行楽客が訪れていました。みなさんとても楽しそうです。

 ですが、ふと目を横にずらすと、BBQなどで出た大量のゴミが放置状態です。そこへカラスがやってきて、さらに散らばってしまうと言う、良くない事が横行しているようなのです。

 地元でも、様々な対策を検討中との事ですが、やはり自然の中で遊ぶのであれば、基本ゴミは持ち帰りです。

 どの地域でも行楽シーズンに問題になるのがゴミ。なかなか改善されないのもこのゴミなのです。


 今回の長良川での研修はとても勉強になりました。また、様々な生物を見る事ができたこと、その生活環境がとてもキレイである事。反面、人の手で守れるものを、人の手で汚してしまう事など、再認識することができました。

 我々ダイバーは、水中視点で見ることができます。

 私どもの使命は、先ず多くのダイバーに、長良川をはじめ、北海道の積丹、然別湖などの、きれいな水中世界を感動していただきながら、地域の抱える問題を共有し、一緒に考えてもらう事、そして、その情報を世の中へ発信し続けることなのだと思うのです。

 最後に、今回の長良川リバーダイビング研修の動画をご覧下さい。


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