SubArctic Diving 2016 "然別湖コタン☆アイスダイビング5"

雪原に現れるコタン

 SubArctic(亜寒帯)ダイビングについて、
 様々な事を書いておりますが、
 今回は、然別湖コタン☆アイスダイビングに対する
 ポセイドンの考え方をまとめてみます。

 そのまえに、今回がこの"アイスダイビング"について、
 5回目の投稿となりますから、
 今までの投稿も、以下にご紹介いたしますね。

 ・2016 然別湖コタン☆アイスダイビング1
 ・2016 然別湖コタン☆アイスダイビング2
 ・2016 然別湖コタン☆アイスダイビング3
 ・2016 然別湖コタン☆アイスダイビング4


・ポセイドンのミッション

蒼い海

 地球上の海と陸の割合は、7:3
 地球の約70%が海。
 私たちは、その壮大な海を利活用して、生活しています。

 しかしながら、海水を飲んだり、海水で洗濯したりはできず、
 水(淡水)が無ければ、人は生きて行けません。

 その淡水は、地球上の水(海水と淡水)の中でも、
 海水約97.5%:淡水約2.5%と希少です。

 その淡水も、ほとんどが氷河であり、ついで地下水。
 利活用できる淡水は、全体の0.01%と言われています。

 わかりやすく例えると、
 ペットボトルを1万人に配り、
 その中で飲める水を当てるのは1人だけ。
 という事です。

雪の中の淡水ダイビング

 膨大な海水と比べると、真逆に希少な淡水。
 この事実は、日本、特に北海道で生活していると、
 降雪などにより、水は確保できますから、
 あまり意識はしていないものです。

 ですが、地球上には、水に困窮している地域が
 たくさんあるということなのです。

 ダイビングをしていると、
 海に意識が向きがちですが、
 視点を少しだけ変えてみると、
 水のありがたみが、よくわかります。

アイスダイビングを楽しんでいます

 ポセイドンのミッション(社の使命)は、
 創業時に橋金作により、昭和48年に制定されました。 
 
 <水を基本とする、自然と人間の共生する生態社会において、
  海洋開発を事業とし、海(水の環境)を通じ、人々へ
  夢と感動を提供し、社会貢献することを社の使命とする>
 
 海がメインとなっていますが、
 もちろん、水辺の環境(淡水)も含まれます。

マリモ保全活動支援での一枚

 きつい言い方で大変申し訳ないのですが、
 良く、環境保全、水中の環境保護、など書かれる店舗もありますが、
 具体的に、何を指しているのか、理解できません。

 見た目重視で、ただ書くだけでは、会社の活動方針に繋がりません。

 ダイビング活動そのものが環境保全ではありません。
 環境保全につながる活動における、
 一部有効な手段がダイビングだと思っています。

 私たちは、ダイビング等を利用し、海だけではなく、
 淡水についても、楽しみ、感動を覚えながら、
 学び、発見し、気付いていただくことを活動の目的としています。

 
・然別湖コタン

幻の村 然別湖コタン

 なぜポセイドンは、流氷ダイビングを行わないのですか?
 と、聞かれることがあります。

 行わないわけではありません。
 もちろん、流氷の神秘的な姿、科学的なメカニズム、
 その動的な氷には、とても興味があります。

羅臼から国後島と流氷を望む

 季節と地域限定の流氷ダイビングは、
 北海道の冬の風物詩でもありますね。

 時期を同じくし、お世話になっている然別湖も、
 湖水面は結氷し、期間限定の幻の村
 「然別湖コタン」が開村されます。

結氷前の然別湖

結氷後の然別湖

然別湖コタン

ICE BAR

 北方域の冬は厳しく、
 人間が生活するには非常に困難な場所。
 そのような中でも、人々は知恵を絞り生活してきました。

 たとえば、イグルーという圧雪や氷で作られた、
 ドーム状の一時的なシェルターは、イヌイットなどの
 生活の知恵から産まれたものです。

2015年のイグルー(チャペル)

 気温や気候により、形を変える「水」の一つの形態が
 「氷」であり、水を基本とする自然と人間の共生、調和
 これらが象られたものの一つが「イグルー」です。

 厳しい冬の北海道をたくましく、かつ楽しく生き抜く。
 そんな自然と人間の共生、調和する世界観が、
 「然別湖コタン」にはたくさんあります。

気温マイナス14度

 ポセイドンの社の使命と合致しており、
 また、希少な淡水の冬の形態を、
 存分に全身で感じることができるので、この時期は、
 然別湖コタン☆アイスダイビングを開催しているのです。

 しかしながら、考えなければならないことがあります。

 然別湖コタンという、一大イベントが開催されている中、
 湖上に穴を開けるということは、立入制限など、
 管理を徹底しなければならないということです。

 誰かが穴に落ちたら大変です。

 リスクを減らすために、湖上への立ち入りは、
 然別湖ネイチャーセンターの指示のもと行います。
 また、穴は1つだけ、お願いしています。


 複数だと、リスクが高まりますし、管理も難しくなります。
 なので、開催に関しましては、人数制限のほか、
 技術と経験などの評価もさせていただいております。
 
 
・寒冷地

吹雪の中の記念撮影

 最近は、気候の変動でしょうか、暖かい時が多いのですが、
 基本的に、マイナス二桁、時にはマイナス30度の世界。

 日が陰り、冷たい風が吹くと、
 淡水はたちまち凍りつきます。

器材がたちまち凍る

 水温こそは、淡水なので、冷たい部分は表層。
 凝固点は0度ですから、凍っていない部分は、
 プラス0.2〜0.8度くらいです。

冷水でも生きている

 ですが、レギュレーターも、海水と違い、
 さらに凍結しやすい環境です。

 レギュレーターだけではなく、
 BCのインフレーターも凍る可能性はあります。
 ドライのインフレーターもです。

 そのほか、器材の可動部分(スイベル)も凍ります。
 カメラは、濡れた状態で陸上においておくと、
 シャッターも、ボタンもカチコチに。

 樹脂製のハウジングは要注意です。
 水がついて凍った部分が歪み、
 そのまま潜水すると水没する可能性も。

 水は、凍ると体積が増えます。
 それによって、器材等が破損することもあるのです。

車内に放置しておくと大変なことに

 低体温症も気をつけなければなりません。
 ドライのインナーも大切な要素ですが、
 ドライ自体も水没に気をつけなければなりません。

 濡れたままでいると、低体温症に。。。

濡れた髪の毛はすぐ凍ります

 ただし、凍ることが特別なわけではありません。
 寒いことも、本来、特別なことではありません。

 凍ること、寒いこと、これらは全て自然の事。
 どうすれば、共生、調和を行えるかが大切なのです。

 「水のことを、もっと知ってもらいたいのです」

 確かに、それらは大変なことではありますが、
 ダイバーだからこそ、それらを実践できると、
 ポセイドンはそう考えています。

氷も水です
 

・楽しい理由

笑ってます

 それでも、人間ですから、何か目的を持たなければ、
 飽きてしまったり、やめてしまったりします。

 ただただ、アイスダイビングで氷を見るだけでは、
 1回体験してしまえば「もういいかな。」
 と、考えてしまうかもしれません。

 然別湖コタン☆アイスダイビングへ
 何度も参加しても楽しい!
 その理由を考えると、

 ・その年、その時で、氷の表情が違う
 ・特別感と達成感
 ・水中も陸上も時期限定のアイスワールド
 ・温泉に癒される
 ・食事が美味しい
 ・仲間が楽しい
 ・然別湖コタンが楽しい

 と、楽しい想い出づくりに必要な要素が、
 ふんだんに散りばめられていることなのだろうと、
 思っています。

 大切に、してゆきたいですね☆

ICE BAR

氷を挟んで撮影

みんなで飲み会

アイスグラスはきれい

(笑)

ホールでコンサート

アイスチャペル

夜のコタン

オショロコマ

十勝はおいしいw

 
・環境が違えば

私の好きな多良間ブルー

然別湖の氷の下

 水のお話をしましたが、
 環境が違えば、その表情は全く変わります。

 もちろん、水そのものもそうですが、
 構成する環境次第で、
 さらに、違う表情を楽しめますね。

 その、水の中に生きている様々なもの。
 それらが、自然の中でどのような意味を持つのか?
 そのほかの生態系への影響はなんなのか?

久米島でのモンツキカエルウオ

積丹でのホテイウオ幼魚

羅臼でのクリオネ

然別湖でのヌマエビ

 などなど、ダイビングを行っていると、
 全国津々浦々、楽しいことだらけです。
 そして、視点を変えたりすることで、
 私たちの生活へどう関係しているのか?に気づきます。

 興味というものは、
 十人十色で面白い。
 
 僕は、氷の表情や海藻が好きです。
 然別湖の友人は、「石」に興味を持っていました。
 どれをとっても、否定するものではなく、
 敬意を払うべきものです。

 お話を聞くと、目からウロコ。
 面白い話が共有できます。

3月の積丹 緑藻類

 考え方が様々あるからこそ、
 南国を楽しむことができれば、
 北国を楽しむことだってできます。
 
 ダイビングという手段を通じ、
 様々な視点で、自然環境を見て、感じる。
 気づき、また学ぶ。結果、生活につながる。

 ほんとうに、ダイビングとは素晴らしいですよね☆
 

・亜寒帯の冬を楽しむために

アイスダイビング

 全国、津々浦々、
 様々な環境を、ダイビングを通じ、
 楽しむことができます。

 大切なのは、楽しむ前提。
 それは目的意識と達成への準備です。

 然別湖コタン☆アイスダイビングでは、
 希少な淡水環境における、
 冬の「水の表情」を見ることによって、
 今一度、水の存在価値を理解することです。

アイスダイビングの水中風景

 また、冬があって、必要な水を確保できる
 ということも、忘れてはなりません。
 その必要不可欠な「冬」と「水」との
 共生と調和を見に、然別湖へ行くのです。

一晩で水面がこの厚さに凍った

 そのために、事前に準備を行います。

 ・定期的にダイビングを行いましょう
 ・浮力の調整、トリム姿勢の制御
 ・フィンワークのトレーニング
 ・器材の準備、整備
 ・科学的な、水と気体の知識
 ・健康的な体と体力づくり

 すべて、生活上、無駄なことではありませんよね?
 結果的に、充実した生活になると、
 私たちは考えています。

 みなさん、春夏秋冬、津々浦々、
 ダイビングを楽しみながら、
 自然と人間の共生、調和を目指してみませんか?
 

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