ダイビング器材のオーバーホール

 
 24年前、入社当時はまだインストラクターどころか、
 ダイビング自体もままならない新人でした。

 現社長の大塚とは、同期入社ではありますが、
 彼は大学時代からダイビングを行なっており、
 入社当時は、インストラクターを取得する段階でした。

 私は、専らお店番。
 何か、自分にもできる仕事は無いものかと考えていた矢先、
 器材のオーバーホールを教わりました。

 ポセイドンでは、渡辺さんという、時間勤務の方がおり、
 オーバーホールをお願いしていたのですが、
 ご高齢であったため、私が担当を交代することとなったわけです。

 それから数年後、
 学校関係の講習をメインで担当するようになり、
 オーバーワーク状態に。。

 そこで、オーバーホールは、関東の業者へ依頼することとなりました。

 時は流れ、当時20代だった僕らも、
 いつのまにか40代で、50代も視界に入りつつあります。

 ありがたいことに、若手も入ってきている弊社。
 そして、定年の年齢は65歳。
 そのため、会社創設以来、初めてになる、
 「50代〜65歳までの役割と業務」の構築が必要となりました。

 今まで、自分の仕事は、自分で造ることを教わってきましたから、
 自社オーバーホールが浮上することは自然の流れでした。

セカンド当たり付け中

 とは言っても、
 ポセイドンのレンタルは、基本的に自分がオーバーホールしていましたから、
 特に違和感がありません。
 
 しかしながら、現状の業務を行いながらなので、
 オーバーホールだけに集中するわけには参りませんし、
 タイミング的に技術者講習を受けられなかったメーカーもあり、
 特定のメーカーに加え、季節限定での対応となったわけです。

 4月いっぱいまでは、
 マレス、シャーウッド及び、取り扱いがないメーカーを除き、
 私がオーバーホールいたします。

 上記メーカーは、いろいろあり、
 昔はオーバーホールを行なっていたのですが、
 今はパーツ供給を受けられませんので、関東の業者へ依頼しています。

分解します。

意外と汚れています。

タンクと接続される部分

 さて、オーバーホールと言ってみたり、
 メインテナンスと言ってみたり、
 何が何だかさっぱり???

 と、おっしゃられる方もおられるのではないでしょうか?

 簡単にご説明いたします。

 メインテナンス:保守、点検、整備、手入れ
 オーバーホール:部品単位分解、洗浄、消耗部品交換、組み上げ、調整

 です。

9.5L超音波洗浄機

30mmH2Oの吸気抵抗値(軽いです)

 付け加えると、メインテナンスは、器材を長持ちさせるために、
 定期的に状態を点検したり、手入れをすることで、
 オーバーホールは、分解して洗浄や部品単位のチェック、部品の交換を行い、
 初期性能に保ったり、近づけたりすることを言います。

 正直に自分の考察を申し上げますと、
 器材はそんなにヤワではありませんし、
 問題は、事前の確認で発見できます。

 ヤワな器材を作ること自体、信用問題に発展しますし、
 壊れづらい、一生に近いくらい使えるというモノに、
 人々は惹かれるわけであって、またそうでなければなりません。
 
 器材を買い換えるのは、壊れたからではなく、
 飽きた、新しいものに興味がわくからです。
 壊れなくて信用できるから、またあのメーカーにしよう。と、なるわけです。

 しかし、
 やはり、定期的なオーバーホールは大切なのです。

 それは、壊れるとか、そういう次元ではなく、
 内部部品は消耗していきますし、初期性能を極力維持した方が、
 潜っていて安心でき、結果器材も長持ちすることにつながります。

消耗部品は徐々に磨耗、劣化してゆく。

洗浄、手磨き終了です。

メーカー推奨のパーツサービスキット

排気弁部分の磨きはとても大切

 オーバーホールは、
 費用もかかってしまいますし、1台のオーバーホール完了までに、
 概ね2日という時間もかかってしまいます。
 受付台数も加味すると、とてもオーバーホールだけで利益は出ません。

 それでも、オーバーホールは、実施する意味が
 ユーザー、ディーラー双方にあるのです。

 ポセイドンでのオーバーホール手順は、
 1、オーバーホール前の目視と作動チェック(故障の有無や吸気抵抗値)
 2、分解、部品素材と汚れに分け洗浄
   (弊社の超音波洗浄機は、9.5L ヒーター付きです。)
   緑青などを除去する洗浄液は、食品グレードのクエン酸です。
 3、手磨きと部品の状態チェック
   (超音波洗浄で全てが落ちるわけではありません。)
 4、メーカー推奨の交換部品を全て交換、指定のグリースを塗布
 5、組み上げ、ファーストの中間圧力を調整(0.85〜0.9MPa)
 6、セカンドの組み上げ、低圧弁に当たり付け、約一晩寝かせる
 6、中間圧力1MPaでのセカンド吸気抵抗値を調整、確認
   (マグネリックゲージにて吸排気抵抗値を測定)
 7、セカンドのフロー圧調整(漏れ始める中間圧力を確認)
 8、ゲージのスイベルをOリング交換、グリースアップ、組み上げ
 9、BCインフレーターを組み上げ、動作確認
 10、全体的にセットアップ、水槽で10分間のリークチェック
 11、BCの空気もれをチェック
 12、乾燥、伝票作成、終了

 これらに使用するタンク及び高圧ガスは、ナイトロックスで使用する、
 クリーンなピュアエアーです。

 また、レクリエーションにおける40%までの
 エンリッチドエアナイトロックスであれば、
 この通常のオーバーホールで問題ないと、弊社は考えています。

リークチェック中

 さて、このようなオーバーホールは、
 メーカーの技術認定を受けることと、専門の知識を要する他に、
 性格的な適性も重要だと思います。

 また、一緒に潜っているお客様の器材は、
 自分たちがオーバーホールすることが、一番だと思っています。
 
 お客様が使ってくださっているシーンを想像しながら、
 オーバーホールを行うと、ズルなんて、絶対考えません。
 なので、インストラクターこそ、オーバーホールを身につけるべきです。

 過去に、オーバーホールしたら調子が悪いという相談を受け、
 大阪のメインテナンス屋でやってもらったのだということでした。
 何か変だと思ったので、分解すると、
 全く別メーカーの、全く規格が合わない高圧シートが
 誤魔化し組み込まれていたこともありました。

 全くありえないことです。

手間ひまをかけています。

 ポセイドンは、当たり前ではありますが、
 誤魔化しやズルはいたしませんし、
 愛情を注ぎながら手磨きいたします。

 そんなことを、考えながら、オーバーホールを行なっていました。

 2月19日(日)15:00から
 決算セール最終日ではありますが、
 「熱いレギュレーター大解剖」という、
 オーバーホールのワークショップを行います。

 長丁場になりそうなので、この日はワークショップ終わり次第、
 皆さんで「お鍋を囲む会」も考えています。

 ぜひ、ご参加ください。

 なんとなく、オーバーホールについて考えていたことを
 ブログに綴りましたので、とりとめもない感じになりましたが、
 だいたいそんな感じです。
 
 
 

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