コールドウォーターダイビング(第2回目)
上の写真は、私ではありませんよ。
アザラシです。
知床・羅臼沖の流氷帯にて、
簡単な潜水撮影のお仕事で潜ったときのものです。
さて、前回に出てきました、海水の凍結。
塩分が薄い部分(基本的に淡水部分)が凍り、濃い塩水はつまはじきに。
その濃い塩水(ブライン)は重たいですから下へ落ちていきます。
ブラインと入れ替えで、水底の水が上に湧昇し、栄養塩などを浮上させます。
また、温度も入れ替わり、縦方向の循環になります。
これを(鉛直混合)と言います。
こういうこともあり、
知床・羅臼の海は、豊かなのでしょうね☆
もう一つ。
知床ダイビング企画の関さんも言っておられましたが、
流氷(海氷)では、下向きの流れがあるから、油断できない(汗)
必ず、ロープなどをつけるべきです。
と、いうことで、
今回は、コールドウォーターダイビングの第2回目
ザックリといきましょう。
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◇コールドウォーターダイビングって??(第1回)
◇水で楽しみ、水に悩む。。。(第1回)
◇空気、水、流体って、、、(第2回)
◇コールドウォーターってなに?(第2回)
◇レギュレーターの凍結??(第3回)
◇コールドウォーターで必要な道具の知識(第4回)
◇ハイポサーミア??(第4回)
◇まとめ(第4回)
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◆空気、水、流体って、、、
まずは、みなさん、
ダイビングは、流体と仲良くすることが大事です。
流体って、、、何??
簡単です。難しく考えずにいきましょう☆
それは、流動的に動くことができるものを(流体)と、言います。
写真の氷の器に入っている飲み物。
これは、器に注ぐ前は、瓶に入っていました。
瓶に入っている時、この飲み物は瓶の形、
器に注ぐと、器の形に、そう、流動的に動いて変化しました。
そうなると、水だって流体ですし、
空気だって、流体なんです。
ね!? ダイビングって、
流体と仲良くしたほうがいいでしょ??
・ねばねば粘性?
流体の特徴は、様々な法則や原理がありますが、
ダイビングの世界に応用されるものばかり。
の、ような気がします。
でも、ここでは、コールドウォーターのお話ですから、
それに関連する、皆様に知ってもらいたい事について、
書いていきます。
で、見出しで書きましたが(粘性)って。。。
そこで、北海道ダイバーのみなさん。
南国からのダイビングツアー帰りで、
次の週は、冬の積丹でダイビングだ!
なんてこと、ありませんでしたか?
その時、もちろん、装備自体にも違いがありますが、
なんとなく、泳ぐと抵抗感、感じませんでしたか?
空気と違って、水はそもそも抵抗をかんじる。。。
水よりも、あんかけやきそばのアンのほうが抵抗をかんじる。(笑)
それが流体の粘性です。
前回の話で、水は温度によって(密度)が変化しますよね?
なので、、
なんと!!
20度の水は空気の60倍、
0度の水は空気の100倍も、粘度が高いんですよ☆
もちろん、海ですから、そんなに単純ではないにせよ、
寒い地域のほうが、水の抵抗があることは、事実です。
う〜ん、、体力つけましょ☆
・空気と水は恋人のよう!?
えっと、本当は、流体ということで、
パスカルの法則や、ボイルの法則や、ダルトン分圧の法則や、
言いたいことはたくさんあるんですけれど、
NAUIスクーバダイバーコースや、
NAUIマスタースクーバダイバーコースのテキストに
掲載されていることは、この際、置いておきましょう。
※のちのち出てきますけれど、、3回目くらいで。
ちょっと視点を変えて。
南国の空気って、湿っていますよね?
そして、冬の空気って、乾燥していると言われますよね?
そうなんです。
空気と水は、恋人のようなものです☆
二人の関係があつあつの時、空気は包容力があり、
水を包み込んでいます。
でも、、、二人の関係が冷え込んでくると、、
水を包み込む気持ちは薄れ、、、乾いた関係になってしまいます。
人が感じる快適な関係というのは、
概ね40%〜60%と言われます。
この話、実は(湿度)なのです。
空気には水が含まれます。これは(飽和水蒸気量)で表したり、
(飽和水蒸気圧)で表したりもします。
結構、難しくなってしまうので、簡単に。
空気に含むことができる(湿度)は、温度によって変わります。
冷えてくると、水分を保てなくなります。
その時、水蒸気が凝縮され、水になります。
その時の温度を(露点温度)と言います。
窓の結露などがそうですね。
マスクの曇りもそうです。
カメラのハウジングもこれなのです。
コールドウォーターダイビングを行っていると、
この(結露)の影響で、いろんな問題が生じてしまいます。
なので、このお話は最後まで覚えておいてください!
・二人の関係はプレッシャーで離れていく。。。
関係は冷え込むだけではなく、
プレッシャーでも離れて行きます。。。
要するに、気体の圧力が高くなると、
気体の露点温度も高くなります。
冷え冷えしなくても、圧力で水分が凝縮します。
コンプレッサーでは、空気を圧縮します。
その際、コンプレッサーオイルの混ざった水分が凝縮、
膨張など冷却効果で水分がドレンとして吐き出されるわけです。
プレッシャーを与え、
冷え冷えした関係にし、
空気と水を、引き離すわけです。。。
ですから、タンクに200barで充填される高圧ガスは、
そうとう乾いたガスになるわけなのです。
ここで、問題なのが、
きちんとドレンを排出されているガスなのか?です。
こまめにドレンを排出するように、
ポセイドンでは、オートドレーンシステムを使用しています。
また、エンリッチドエアを作る時のピュアエアは、
さらにスーパーウルチポアという清浄装置、
そして、ゼオライトというフィルターを通過し、
かなりクリーンなガスを作っています。
ですが、コンプレッサーによっては、
ドレン排出が手動であり、
しかも、かなり溜め込んだ後に急激な排出をすると、、
ドレンを巻き上げ、スクーバタンクへ混入することもあります。
そうすると、体にもあまり良くないだけではなく、
タンクにも良くないですし、、、
コールドウォーターでは大問題となることがあるんです!
・これは外せない!断熱膨張
コールドウォーターを語る時、
これを抜きにして話すことができません。
それが(断熱膨張)です。
近似的に周りから熱を加えたりしないという前提で(断熱)、
気体を圧縮すると、気体温度が上がり(断熱圧縮)
圧縮気体を膨張させると、気体温度が下がります(断熱膨張)
気体を押しつぶす時(圧縮)の仕事は、
エッサホイサと気体内部のエネルギーの増加につながり、
温度が上昇するのです。
逆に、その気体を(膨張)させる仕事は、
気体内部からエネルギーが賄われるので、
温度が降下してしまいます。
高い圧力の高圧ガス。
これにレギュレーターをつけて圧力を調節。
そして、環境圧まで減圧(気体の膨張)し、呼吸します。
このとき、レギュレータ内部は、とてつもなく、
温度が降下しているのです。
これらによる、凍結のメカニズムは、
第3回目に書きたいと思います。
本当は、ヴェンチュリー効果や、いろんなこと、
書きたいところですが、
これだけでも結構なヴォリュームなので、、、
これくらいにいたしましょう。
本当に、ザックリなんだろうか???
◆コールドウォーターってなに?
以前のブログでも書きましたが、
決まった定義はありません。
ただ、なんらかの低温リスクが発生する温度以下は、
やはりコールドウォーターなのでしょう。
3度以下とする考え方もあるみたいですし、
とある文献では4度以下。
レギュレーターでいうと、10度以下は寒冷地仕様。
ポセイドンでは、どこを取るか???
結局、レギュレーターがなければ、
ダイビングはできませんから、
やはり10度以下の水温を
「コールドウォーター」
としています。
ただし、勘違いにご注意を。
コールドウォーターではないからといって、
軽装で潜水することはNGデスヨ。
ドライスーツと5mmウェットの境目は、
だいたい15度〜20度で考えてよいと思います。
ちなみに、身体の冷えは、
コールドウォーターではなくても、
真夏だって、南国だって発生することがありますからね。
コールドウォーターの定義をもう一度言います。
要するに、ポセイドンでは水温10度以下の、
「凍るど!ウォーター!」
と、いうことです。
さて、次回3回目は、
いよいよ、レギュレーターや
道具の取り扱い注意事項です。
お楽しみに☆
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